京都には「花街」と呼ばれるエリアがあります。お茶屋さんと置屋さんが軒を連ねた町並みは、京都でも人気の観光スポットです。現在は上七軒、祇園、祇園東、先斗町と宮川町の五花街があり、夕方には舞妓さんや芸妓さんの行き交う姿が見られます。
それぞれに歌舞練場というお稽古場があり、春と秋には様々な踊りの会が催されます。
「お茶屋さん」とは、芸妓さんと舞妓さんを呼んでお客様が遊ぶ場所です。お茶屋さんは全て一見さんお断りであり、誰かの紹介が無いと入れません。「置屋さん」は芸妓さんと舞妓さんが所属している家のことです。舞妓さんは芸妓さんになるまでの５～６年間置屋さんに住み込み、衣食住の世話は全て置屋さんがします。芸妓さんになって独立してからも、花街に居る限り置屋さんのサポートはずっと続きます。それぞれに「お母さん」と呼ばれる女将さんがおり、花街は「お茶屋さん」、「置屋さん」、「芸舞妓さん」の三つで成り立っています。
舞妓さんは芸妓さんになる前の１５～２０歳位の少女達です。昼間はお稽古、夜はお座敷ととても忙しい毎日を過ごしています。中学卒業後の１５～１６歳から置屋さんに入り、「仕込さん」という修行期間を１年経て、晴れて舞妓さんになることができます。舞妓さんになると自分の髪の毛で日本髪を結いますが、これは「髪結いさん」という舞妓さんの髪を専門に結う場所で結ってもらいます。一度頭を結うと一週間ほど保たなければならない為、夜は高枕で寝ます。お昼はお稽古行きのお着物を着て歌舞練場へお稽古に通い、夜は裾引きのお着物にだらりの帯を締め、おこぼを履いてお座敷へ向かいます。
舞妓さんが二十歳位になると、「襟替え」という儀式を経て芸妓さんになります。芸妓さんになると置屋さんを出て、衣食住の世話を自分でしなければなりません。格好も舞妓さんは自分の髪の毛で頭を結うのに対し、芸妓さんは島田の鬘になり、お衣裳は裾引きの着物にお太鼓の帯を締めます。芸妓さんになるとお稽古の内容も高度になり、姉として舞妓さんを指導する立場になります。
地方さんとは、お座敷で三味線を弾いて唄を唄ってくれる芸妓さんのことです。舞妓さんの頃から三味線のお稽古を続けて、３０～４０歳くらいになってようやく一人前の地方さんになれます。お座敷では主に小唄や端唄を演奏しますが、長唄、清元、常磐津等のお稽古もしており、春の踊りの会では舞の地方を務めます。
舞妓さんや芸妓さんに会える場所、それがお座敷です。初めてのお客様は「一見さん」と呼ばれ、お茶屋さんのお座敷には上がることができません。ですが、お料理屋さんのお座敷でしたら舞妓さんや芸妓さんを呼ぶことは可能です。御料理やお酒を楽しみながら舞妓さん、芸妓さんとの会話を楽しんだり、舞を観賞することが出来ます。
また、お座敷では、「お座敷遊び」というお遊びがあります。主なお座敷遊びに「金毘羅舟々（こんぴらふねふね）」、「虎々（とらとら）」等があります。「金毘羅舟々」とはお客様と舞妓さんが向かい合って座り、脇息の上のお袴（瓶ビールの下敷き）を音楽に合わせて交互に取るお遊びです。「虎々」は加藤清正の虎退治の唄に合わせて踊り、唄の最後に虎、清正、老婆のいずれかに扮して勝負を決めるお遊びです。
他にも「麦つんで」、「迷惑拳」、「猫タコ坊主」等様々なお座敷遊びがあります。唄の好きなお客様は、地方さんの三味線に合わせて「さのさ」や「都々逸」「小唄」等も楽しむことができます。
基本的には舞妓さん、芸妓さん、地方さん（お三味線を弾く芸妓さん）の三人で呼ばれることが多いですが、お客様の人数によっては地方さんと舞妓さんだけだったり、芸妓さんをもっとたくさん呼んだり自由に変更することができます。
初めてのお客様は舞妓さん、芸妓さんにどのように接したら良いかわからない…という方もいらっしゃるでしょうが、芸舞妓さんはサービスのプロですので、基本的にどんなお話をされても大丈夫です。舞妓さん、芸妓さん達の普段の生活や疑問に思っている事などを質問しても、快く答えてくれるでしょう。ただし、これは基本的なマナーですが、芸舞妓さんにプライベートな恋愛や金銭の事を聞いたり、綺麗だからといって髪や着物に触ったりするのは絶対にやめましょう。
お料理屋さんのお座敷では、お料理を食べながら芸舞妓さんと楽しく過ごすことができます。お料理の合間に舞を舞ってもらったり、お三味線に合わせてお座敷遊びをすることもできます。
・芸舞妓さんやそのお衣裳には絶対に触らないで下さい。
・芸舞妓さんに対して、その場に不適切な会話や、不快感を与えるような言動はしないでください。
以上の行動が見られた場合、時間内であっても芸舞妓さんを引き揚げさせて頂きます。尚、料金は通常通り頂戴いたしますのでご了承くださいませ。
